NVIDIA株が急伸 ― 好材料が重なった一日
株価は上昇幅を拡大、210ドル台を回復
2026年7月10日、NVIDIA(NVDA)株は取引中盤にかけて上昇幅を拡大し、終値ベースで前日比4%前後の上昇となった。株価は210ドル台を回復し、時価総額は5.1兆ドル前後まで拡大、世界最大の時価総額企業としての地位を維持した。同日のS&P500やナスダック総合の上昇率が0.2〜0.3%程度にとどまったのに対し、NVIDIA単体の上昇率はこれを大きく上回り、半導体セクター全体の物色を牽引する形となった。
背景には、6月下旬から続いていた株価低迷がある。NVIDIA株は6月の高値から約2割近く下落し、年初来で見ても半導体グループの中では出遅れが目立っていた。生成AIブームの持続性への懐疑や、大型IPOの延期観測が投資家心理を圧迫していたことが要因とされる。
複数の好材料が同時に発生
この日の急伸は、単一の材料によるものではなく、複数の好材料が重なった結果と見られている。
第一に、主要サプライヤーであるSKハイニックスの米国ADR上場が好調に滑り出したことが挙げられる。上場初日の株価上昇は、AI関連メモリ需要への強気な見方を裏付ける形となり、NVIDIAを含むサプライチェーン全体への安心感につながった。
第二に、中国が国内の主要AI企業に対し、NVIDIAのH200プロセッサーの限定的な購入を認める方針に転換したとの報道が流れた。対象にはAlibaba、ByteDance、DeepSeekなどが含まれるとされ、数量や用途の正当化を条件に承認される可能性があるという。承認総数には20万ユニット未満という上限が設けられる見通しだが、これまでゼロだった市場からの需要が見込める点は評価材料となった。
第三に、米政権がUAE向けの輸出規制を緩和する方向で検討しているとの報道も株価を後押しした。実現すればUAE企業がNVIDIAやAMD、Cerebras Systemsなどの先端AI半導体を調達しやすくなり、新興のデータセンター需要の取り込みにつながる可能性がある。
このほか、Blackwellアーキテクチャへの需要がサプライチェーンの供給能力を上回っているとの指摘や、証券各社による業績予想の引き上げも下支え要因として挙げられている。
バリュエーションと今後の焦点
株価収益率(PER)は直近で32倍程度となっており、過去5年の中央値である59倍と比較すると歴史的には低い水準にある。一部の分析ではファンダメンタルズ対比で相当程度の割安感があるとの評価もされているが、その一方で直近3か月にはインサイダーによる大規模な売却も報告されており、経営陣の見方については見解が分かれる部分もある。
決算発表は8月下旬まで予定がないため、当面の株価はこうした外部環境要因に左右されやすい展開が続くとみられる。7月下旬に予定されるMicrosoft、Meta、Amazon、Alphabetなど主要顧客企業の決算では、AI関連投資計画の内容が改めて注目される見通しだ。あわせて、レバレッジ型ETFを通じた資金の膨張など、半導体株全般における投機的な動きの強まりにも留意が必要とされている。
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