決算サマリー(2026年Q2 / 4〜6月期)
Alphabetは2026年7月22日の米国市場引け後に第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比24%増の1,198億ドルと市場予想の1,169億ドルを上回り、12四半期連続の2桁成長を記録した。
| 指標 | 結果 | 予想 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | $1,198億 | $1,169億 | +24% |
| 営業利益 | $408億 | — | +30% |
| 営業利益率 | 34% | — | +2pt |
| EPS(希薄化後) | $9.11 | $2.89 | +294% |
最大のハイライト:Google Cloud +82%
Google Cloudの売上高は前年同期比82%増の248億ドルと、主要クラウド事業者の中で最速の成長率を記録した。Cloud事業の営業利益は88億ドルと、前年同期の28億ドルから3倍超に拡大した。
Cloudの受注残高(バックログ)は前四半期比500億ドル増の5,140億ドルに達した。
Google Services(広告・YouTube・サブスクリプション)も堅調だった。検索・その他収益が前年比17%増の633億ドル、YouTube広告収益が13%増の111億ドル、サブスクリプション・プラットフォーム・デバイス収益が15%増の129億ドルとなり、Google Services全体では15%増の945億ドルを計上した。
EPSの「罠」:$9.11は本当の実力ではない
報告EPS $9.11(前年比+294%)は、AlphabetのAnthropicへの出資持分価値がAnthropicの評価額急上昇により約800億ドル規模で増加したことによる未実現利益が膨らんだためであり、コアの事業利益を反映したものではない。
この一時的な特別利益を除けば、コア事業の営業利益は前年比30%増の408億ドル。これ自体は十分に強い数字だが、EPSの数字だけを見て「3倍増益」と解釈するのは誤りだ。
決算後に株価が-5%となった理由:設備投資の「軍拡」
業績の全指標が予想を上回ったにもかかわらず、AlphabetのGOOGL株は時間外取引で約5%下落した。市場が売りで反応した理由は業績ではなく、設備投資(Capex)の上方修正だ。
2026年通期のCapex見通しは1,800〜1,900億ドルから1,950〜2,050億ドルへと、中央値で約150億ドル引き上げられた。Q2単体のCapexは前年同期比約2倍の449億ドルと過去最高を更新し、上半期累計では786億ドルに達した。
さらに市場を不安にさせたのは経営陣の発言だ。CFOのAnat Ashkenazi氏は「2027年のCapexはさらに大幅に増加する見込みだ」と明言した。
その結果、フリーキャッシュフローは前四半期までの黒字から一転してマイナス59億ドルに転落した。
「規模への信頼」vs「支出への不安」
今回の決算の本質的な緊張関係は、弱い事業と強い事業の対立ではない。Alphabetが「これだけ使い続けることへの正当性を市場に証明できるか」という問いへの答えを、まだ市場が待っているということだ。
強気派の根拠はCloud事業のバックログ5,140億ドルという「受注の可視性」にある。GeminiのMAUは9億5,000万人に達し、Fortune 500企業の90%超がGeminiサービスを契約している。
一方の弱気派は「Capexが収益を上回るペースで膨らんでいる」という構造に警戒する。Microsoft・Amazon・Metaを含むBig Tech全体でAIインフラへの設備投資競争が空前のペースで進んでおり、Alphabetだけが抱えるリスクではない。しかし市場が「この支出は本当に回収できるのか」という問いに答えを求めていることも事実だ。
まとめ:Alphabetは「勝っているのに評価されない」フェーズにある
Cloudは82%成長、検索も広告も堅調、EPS・売上・営業利益はすべて予想超え。それでも株価が下落したのは、「今何を稼いでいるか」より「これだけ使い続けて将来何を稼げるか」を市場が問い始めているからだ。AIインフラへの投資が本格的に回収フェーズに入るまでの間、AlphabetはCapexの重力と戦い続ける。
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