まず結論から
2週間前、私はこう書いた。
「長期投資家として、こういう局面が冷静に拾えるチャンスになることが多い」
あの判断は正しかったのか。今日は答え合わせをする。
あの日、何が起きていたか振り返る
6月5日(金)、半導体セクターは記録的な暴落に見舞われた。
| 指標 | 下落幅 |
|---|---|
| SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数) | -10.3% |
| SOXX(半導体ETF) | 約-10% |
| NVDA | 時価総額約$3,300億が消失 |
| TSM・AVGO・MU | それぞれ**$1,000億超**が消失 |
| ナスダック総合 | -4%(2025年4月以来最悪) |
きっかけはブロードコムが過去最高売上を発表したにもかかわらず、AIチップの売上見通しが投資家の期待を下回ったことで株価が13%近く急落したことだった。これに加えて5月の雇用統計が17万2,000人増と予想の2倍となったことで長期金利が4.54%まで上昇し、グロース株への逆風が重なった。
ただし当時から指摘していた通り、指数全体は急落していたものの、値上がり銘柄238・値下がり銘柄264と内訳はそこまでパニック的ではなく、機械的な売りが先行していた側面が強かった。
2週間後の今、どうなっているか
NVDA
過去1年で46.47%上昇・52週レンジは$142.03〜$236.54という水準で、5月14日には$236.54の史上最高値を記録している。
直近の値動きを見ると:
6月18日終値$210.69(+2.95%)。直近1ヶ月のレンジは$199.34〜$232.28で推移しており、6月5日の暴落直後の安値圏からはしっかり切り返している。
週間では+4.57%・月間では-4.07%という状況で、暴落の傷は完全には癒えていないものの、パニックの連鎖は止まっている。
チップセクター全体
暴落から週明けには早速反発が見られ、Intelが+11.19%・Micronが+9.87%という大幅な切り返しを見せた。きっかけはイスラエル・イラン情勢の緊張緩和で原油価格が下落し、リスク資産への選好が戻ったことだった。
「過去のパターン」は今回も当てはまったか
6月8日時点で野村證券のストラテジストが示していた見立てがある。
1995年以降、SOXが1日で5%以上下落した場面(177回)では、1ヶ月ほどの一進一退を挟んでSOXが株高基調に戻る傾向が確認されている。同様に米雇用統計が予想を上回り米国株安・長期金利上昇となった場面(37回)でも、1ヶ月程度の一進一退を経てS&P500が株高基調を取り戻す傾向が見られた。
暴落から2週間が経った今、NVDAは安値圏からしっかり反発し、Intel・Micronも二桁の戻りを見せている。「1ヶ月の一進一退」という過去パターンは、今のところ概ねなぞっている。
ただし手放しでは喜べない理由
一点だけ冷静になっておきたいことがある。
NVDAは5月14日の$236.54から現在$210.69まで、まだ全戻しには至っていない。
さらに直近では$208〜211のレジスタンス帯で頭を抑えられる動きが見られ、買い圧力がまだ高値更新を狙えるほど強くはないという分析もある。市場は完全にリスクオンに戻ったわけではなく、様子見ムードが続いているというのが実態に近い。
またAlphabetが独自AIチップでNVIDIAの戦略を模倣しているという報道や、AmazonがNVIDIA対抗チップを他社に外販することを検討しているという報道も出てきており、長期的な競争環境の変化には引き続き注意が必要だ。
まとめ
- 6月5日の暴落:SOX-10.3%・NVDA時価総額$3,300億消失。原因はブロードコムのガイダンス失望+雇用統計ショック
- 2週間後の現在:NVDA・Intel・Micronともに大幅リバウンド。ただし史上最高値はまだ未奪回
- 過去のパターン:「1ヶ月の一進一退」という野村證券の見立て通りに推移中
- 新たなリスク要因:Alphabet・Amazonの内製AIチップ戦略が長期的な競争環境を変えつつある
本記事は現役投資家の視点からまとめたものです。投資判断は自己責任でお願いします。
Msvari投資学 | @msvari_invest
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